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2008年8月20日

モバイル学会 レポート

中尾(なかお)

いろいろなシンポジウムがあって、いくつか参加したのですが、一番興味深かったのは「ケータイの未来」という夏野氏の公開講演でした。
夏野氏は今年の6月までNTTドコモに勤務、現在は慶応義塾大学の教授となりました。氏はSFをこよなく愛していて、アイディアの多くはSF(特に物理学の理論にのっとったハードSF)からヒントを得ているそうです。講演もたくさんのSF映画を用いて行われました。

ケータイの未来

ケータイはもともと通信機能から始まりました。そして、iモードが搭載されることで情報収集ができるようになり、お財布ケータイの機能がついて生活品となりました。では、その次は何なのか?彼の中にある「ケータイの未来」は次のようなものだそうです。

1.AI(人工知能)
ライフアシスト、エージェント、カスタマイズ、個人秘書、執事、コンシェルジュ

2. I/O(出入力)
ディスプレイ、キーボード、バーチャル、ソフトディスプレイ、音声認識

3. BIO(生体認証)
個人ID、カスタマイズド情報、指紋認証、虹彩認証、トラッキング

4. BATERY(電源)
燃料電池、非接触充電、ソーラー、自然エネルギー、量子エンジン

では、ここから詳しく説明していきます。

1. AI(人工知能)

簡単に言うと個人の秘書や家政婦になって様々な情報提供をしてくれるもの。ではSF映画を例にとってみます。朝起きて鏡を見るとそこに今日の予定やto doリストが表示される。冷蔵庫のミルクが無くなると、もうないことを知らせ、「注文しますか?」とすぐにオーダーできる仕組みもある。

2. I/O(出入力)

今、キーボードや画面は筐体そのものの大きさで使用しているけれど、プロジェクターで映し出したようなキーボード(ホログラムのようなもの)だと筐体以上に大きくすることも可能になります。同じように画面もディスプレイ以上に映し出されます。夏野氏いわく「ケータイで映画を見るにはある程度大きくなければ見たくないと思う」と。この技術は現段階でも十分可能だそうです。
それから、音声認識。これは「○○に電話」と言うと個人の声を認識して自動的にその人に電話がつながったり、家に帰ったときに「電気」と言うと電気がついたり、とにかく音声でいろんなことができるようになるものです。

3. BIO(生体認証)

これは、これからさらに増加、洗練されるだろう分野です。映画では、電車に乗る前に人々の虹彩が認識されて不審者(指名手配中)がいないかをチェックしたり、会社に入る前に指紋で認証したりというシーンがありました。それから、ブティックに入ると機械がカスタマーを特定して「○○さま、いらっしゃいませ。先日のお買い上げ商品はいかがでしたか?」などと声をかけてくるというシーンも興味深かったです。

ただここには重大な問題が潜んでいます。こうなると個人のプライバシーというものは全くなくなります。どこにいても指紋や虹彩で認識され、それが記録として残ると「○○は、この時間に、あそこにいた」ってことになりますから。夏野氏も「これに関しては安全という意味で需要が高まるが、プライバシーという面では国民全体で議論する必要がある」とおっしゃっていました。

4. BATERY(電源)

燃料電池、非接触充電、ソーラー、自然エネルギー、量子エンジン これは①~③とは少し内容が異なり、主に充電をどのように確保するのかということです。わざわざコンセントを差さなくても、決まった場所に置くと自動的に充電がなされるとか、さまざまな方法で電源が確保できないかというもの。わざわざ充電しようと思わなくても勝手に充電が終わっているのです。

以上は、SF映画の中での話です。「こんなことできるのだろうか?」と若干疑問が残りますが、夏野氏はこのうちのいくつかは近い将来可能であろうと述べていました。ケータイの未来の中には、音声認識、ライフアシスト、ディスプレイ、キーボードなど、いろんな案があがっていますが、これらは障碍者や高齢者のニーズと共通するものが多々あります。多くの人にとっての使いやすさのヒントは障碍者や高齢者の生活の中にも隠されているのだと思いました。

ものつくりの世界

最後に夏野氏が力説していたことをご紹介します。 ものつくりの世界では、往々にして製品を作り終わるということがゴールとなりがちだが、本当に重要なことは、それをカスタマーにいかに広めるかということ。

そのためには、やはりカスタマーの視点に立つことが重要で、“for ordinary people ~すべてはフツーの人々のために~”という言葉を強調していました。

私はいわゆる社会的マイノリティである社会福祉の分野にいるので、夏野氏の考えるフツーの人ってどんな人だろう?と一瞬疑問をもってしまいましたが、おそらく「エンジニアなどの専門職ではなく、カスタマーの視点に立つことが重要」と伝えたかったのだと考えます。「ネットの世界、ケータイの世界、どんな世界でも必ず人間の生活が投影される。現実の世界で起こっていることは、幸せなこともそうでないこともすべて他のバーチャルな世界に映し出される。だからこそ、どんな世界にいてもカスタマーの生活が原点になる」そう語っていた姿が非常に印象に残りました。